きものスタイリスト 大久保信子流 季節を彩る晴れ着スタイル 晴れ着の丸昌 横浜店

七五三の装い

子どもの健やかな成長と幸せを祈願する「七五三」。
毎年11月15日に三歳、五歳、七歳になった子どもに晴れ着を着せ、神社に参拝する伝統的な行事です。
今回は、七歳の女児の装いをご紹介します。

丸昌のレンタル衣裳を
「大久保信子流」にコーディネート

七歳女児の
七五三での晴れ着

着用シーン

以下の着用シーンに合うアイテムを丸昌の
レンタル衣裳の中から選んでいただきました。

場面 七五三の参拝
年齢 七歳
性別 女児

コーディネートのポイント

  • お姫さまのような清楚で可愛らしい装い
  • 着物の柄行きや小物使いなど、伝統を受け継いだ装い

着物

ピンクの雲取りに手まりや花丸文をあしらった着物

鏡裏文のジュニア用袋帯

大久保さんのアドバイス

七五三が現代のような形で広まったのは、江戸時代といわれています。しかし、それぞれに原型があり、三歳は平安時代から行われていた「髪置き」「髪立ち祝い」、五歳は平安時代の公家階級で行われていた「袴着」「着袴(ちゃっこ)」、七歳は室町時代から行われていた「帯解き」「紐落とし」といった儀式が起源とされています。

今回ご紹介する七歳女児の祝着は、着物の付け紐を取り、「初めて帯を締める」という儀式を受け継いだもの。肩揚げをした着物は女児の無垢な愛らしさが引き立つような明るめの色味を選び、なおかつ、神聖な行事であることを意識して、着物や帯の柄行き、小物類に伝統的な要素をしっかり利かせることもポイントではないでしょうか。

今回選んだ着物

伝統柄と明るくくすみのない色使い

地紋は紗綾形に蘭や菊をあしらった本紋綸子で、優雅で上品な光沢感が目を引きます。袖や身頃の大きな手まりは金駒刺繍(10月の「今月のメモ」をご参照ください)で縁取られ、桜、菊、橘、蘭などお祝いにふさわしい花が、一輪ずつであったり丸文であったりと、大小さまざまな形で着物全体を彩っています。前身頃の手まりのそばには糸巻きも。歌舞伎の衣裳などにも見られる若い娘の着物の代表的な図案で、細く長く生きられるようにとの願いが込められています。さらに、純白地に雲取りのピンクというくすみのない明るい色彩が、まるでお姫さまのような可憐さを醸し出しています。雲取りの中にほどこされた鹿の子絞りも、子どもらしい柔らかさと愛らしさを一層高めています。

今回選んだ帯

金地に鏡裏文の豪華な袋帯

金の地色に、金糸や鮮やかな色で刺繍された鏡裏文があしらわれています。鏡裏文とは、古い鏡の裏側の模様を鏡の形を生かして文様化したもの。今回の帯のように紐を添えた絵柄も多く、富を表す文様として礼装用の着物や帯に多く描かれています。帯結びは定番の文庫に。

今回選んだ小物

帯揚げ、帯締め、小物類を赤で統一

絞りの帯揚げに丸ぐけの帯締め、重ね衿をはじめ、箱迫(はこせこ)、扇子の房、志古貴(しごき)まで、すべて赤で揃えました。赤は昔から女児にはとても似合う色です。今回のように淡い着物に合わせると全体が引き締まり、コーディネートにメリハリが生まれます。

今月のメモ

志古貴(しごき)

「しごき帯」ともいいます。江戸時代は歩きやすくするために、女性が着物の裾をたくし上げて腰に締めるものでしたが、明治以降は装飾用となりました。現代では七五三の女児の晴れ着や花嫁衣裳に用いられており、おもな材質は縮緬(ちりめん)や綸子で、赤やピンク、ヒワ色、黄色などが人気です。

箱迫(はこせこ)

江戸時代に奥女中や武家の若い婦人が懐中に入れて用いた華紙入れ。現在は七五三の女児の晴れ着や花嫁衣裳の衿元に差し、装飾として使われています。金襴(きんらん)、緞子(どんす)、ビロードなどに刺繍をほどこした華やかなものが多く、におい袋や装飾用の房、びらかん(びらびら)がついています。

びらかん

「ビラビラ簪(かんざし)」「ぴらぴら簪」ともいいます。江戸時代の女性用の髪飾りで、棒の先に細い鎖を何本か下げ、その先に飾りを吊るしたもの。歩くたびにびらびら、ぴらぴら揺れるさまからこの名前がつきました。七五三の装いでは、髪飾りではなく箱迫の飾りとして箱の側面に棒を挿し込んで用います。

教えてください! 愛用の一着

えんじ色の御召の付け下げに
白の蔦が映える染名古屋帯

――お着物のえんじ色が秋らしいですね。

大久保先生「はい。えんじ色の地に白の細かい縞が入った御召の着物です。御召は糸を染めてから織りで柄を出す生地です。織りの着物では一番ランクが高くなります。はりがあってサラサラしていて着心地がいいのよ」

――袖と裾に模様がありますが?

大久保先生「織り上げた生地の上から染めてあります。袖と裾に模様があるので、この着物は付け下げ。葉が散っている控えめな柄付けも気に入っていて、歌舞伎鑑賞やお食事会、講演会など、さまざまな場所に着て出かけています」

――いっぽう、帯の柄は黒地によく映えていますね。

大久保先生「蔦の葉は白くて晩秋にぴったり。冬も間近というこの時期によく締める塩瀬染名古屋帯です。帯締めはさし色にごく淡いピンクのものを選びました。この色の帯締めは大変便利なのよ」

大久保信子さんのご紹介

1976年に某着物雑誌の制作に関わり、日本で初めて「きものスタイリスト」として紹介される。それ以降、ハースト婦人画報社、世界文化社、プレジデント社などの各雑誌、NHK、その他各種テレビ番組、着物取扱い業者のパンフレットなど、着物のスタイリングおよび着付けに幅広く携わる。十数年の日本舞踊の経験や、歌舞伎鑑賞を趣味としており、着物に関する奥行きの深い知識と美学を身につけている。常に、着る人の立場に立って、その人の持っている美しさを最大限に引き出すスタイリングと着付けには定評がある。