知っているようで意外に知らない男性の礼服。デザインだけでなく、格式の高さの違いや着用する時間帯の違いがあるのをご存知でしょうか。それらの違いを知っていれば、はじめて紳士礼服(メンズフォーマルウェア)を購入する際、またはレンタルする際も安心です。ご自身の着用シーンを考えながら、選び方に活かしましょう。
(※この記事は2017年8月22日に公開したものを加筆修正しました。)
紳士礼服(メンズフォーマルウェア)の種類とそれぞれの違い
男性の礼装は大きく分けて、正礼装、準礼装、略礼装の3つの種類があります。それぞれの違いについて見てみましょう。
もっとも格式が高い正礼装
モーニングコート(モーニング)
昼用の正礼装です。おもに結婚式の新郎新婦の父親や新郎自身、格式の高い式典の主催者や叙勲、 園遊会の参加者などが着用します。
特徴はジャケットの形で、前の裾が斜めに大きくカットされています。黒い上着とベスト、グレーの縦じまのスラックス(コールズボン)のセットが基本ですが、結婚式の新郎は華やかなグレーの上着を着用することもあります。
燕尾服
夜用の正礼装。格式の高い結婚式や、記念式典などで「ホワイトタイ」と指定がある際に着用します。「燕尾服」というのは後ろの裾がつばめの尾のように長くなっているため。テールコートやイブニングコートとも呼ばれます。
着用シーンを見かける例としては、ノーベル賞の授賞式や晩餐会への出席者、オーケストラの指揮者ではないでしょうか。色は白と黒でまとめるのが基本です。
タキシード
夕方以降に行われる結婚式や記念式典「ブラックタイ」と指定がある場合など、フォーマルなパーティーでの正礼装で、色は白と黒でまとめるのが基本です。デザインは蝶ネクタイとカマーバンドが特徴的です。
タキシードと言えば、映画「007」のジェームズ・ボンドのイメージが強いですが、その他にはアカデミー賞などの授賞式でレッドカーペットを歩くスターが優雅にカッコよく着こなしている姿もよく見かけますね。
正礼装における注意すべき違い
モーニングコート、燕尾服、タキシードはどれも正礼装ですが、見た目には大きな違いがあります。違いがはっきりしているだけに、夜用の燕尾服やタキシードを日中に着てしまうと、恥ずかしい思いをする可能性も…。着用の時間帯をよく確認して選びましょう。
改まった席に着用する準礼装
ディレクターズスーツ
昼間の準礼装。結婚式、記念式典、パーティーなどで着用します。ブラックスーツよりは格上にあたり、結婚式では新郎・新婦の父がモーニングの代わりに着用することもあります。黒のジャケットにベスト、グレーの縦じまスラックス(コールズボン)をセットで着用します。
ブラックスーツ
昼夜とも着用できる黒いジャケットとシングル裾のスラックスです。
もっとも応用範囲が広く一般的な礼服で、かつては略式という位置づけでしたが、現在は、結婚式や祝賀行事、葬儀・告別式まで冠婚葬祭のあらゆるフォーマルシーンに着用できます。一般的に礼服と言うと、このブラックスーツをイメージする人がほとんどかと思います。慶事にも弔事にも着用できますが、生地に光沢のあるものは弔事の喪服としてはNGなので注意して選びましょう。
準礼装における注意すべき違い
ディレクターズスーツとブラックスーツは、ズボンに違いが見られます。ジャケットはどちらも黒色ですが、ズボンはディレクターズが縦じまでブラックが黒無地なので、容易に見分けられます。どちらも準礼装として着用できますが、選ぶ際は格の違いがあることを意識しておきましょう。
二次会などにも使える略礼装
ダークスーツ
濃紺やダークグレーなどダークカラーの無地のスーツです。略礼装として、カジュアルな結婚式や披露宴の二次会、音楽会、ディナーショーなどの公式な会への出席など少し改まった席に着用できます。
紳士礼服(メンズフォーマルウェア)の選び方
礼服を選ぶ際には、まずどのような会に列席するための礼服なのか、その礼服の着用シーンを考える必要があります。行事の内容や格式、慶事なのか弔事なのか、昼間なのか夜間なのか、さらにその着用シーンでのご自身の立場(主催者側か、招待者側か)も考慮する必要があります。
男性の場合は、礼服の中でも慶事のフォーマルスーツとしても弔事の喪服としても使えるブラックスーツは購入し、あまり着る機会のない正礼装は必要な時にレンタルする、という人が多いようです。そこでここでは、ブラックスーツを購入する場合の選び方と、正礼装をレンタルする場合の選び方について解説します。
ブラックスーツの選び方のポイント
ブラックスーツには、秋冬用・春夏用の2種類がありますが、とりあえず1着という場合は、裏地のある秋冬用を先に購入すると良いでしょう。裏地のない春夏用はその後に準備しておくと安心です。
長く着るものなので、流行のデザインは避け、シンプルなものを選びましょう。ダブルとシングルがありますが、どちらも格式に違いはありません。また、生地に光沢があるものは慶事には最適ですが、弔事には向きません。
サイズはジャストサイズのものよりも、ややゆとりのあるものをおすすめします。特に細身のシルエットを選ぶ際は、数年後の自分の体型も考慮しましょう。幅広いシーンで長く使えるものを選ぶのがポイントです。
正礼装をレンタルする際のポイント
モーニングやタキシードなどにも秋冬用・春夏用がありますが、レンタルの場合は季節を問わずに着用できる、オールシーズン用というものが多いようです。会場が室内であれば、エアコンで温度調整がしてあるため、あまり気にする必要はないと思いますが、神前式やガーデンウェディングなど屋外で過ごす時間が長い場合は、季節に応じたものを検討する方がいいかもしれません。
デザインについては、もっとも格式の高い正礼装のため形式が決まっており、流行り廃りはほぼ関係ありません。それよりも、注意したいのはサイズです。格式が高いからこそ、サイズがあっていないと格好よく着こなせず、だらしない印象に見えてしまいます。できれば試着をするのが安心ですが、試着を行わないネットレンタルを利用する場合は体型を正しく採寸して、自身に合ったものを選ぶようにしましょう。そして衣装が届いたら本番前に一度着用して、フィット感に問題がないか確認しておきましょう。
さらに、必要なアイテムが1つでも欠けていると、せっかくの正礼装が台無しですので、レンタル内容の一式が揃っているか、自分で準備すべきアイテムが他にあるか確認し、必要に応じて手配を行いましょう。また男性の礼服の場合は、着物と違って着付けのサービスや介助がないことがほとんどです。着慣れない衣装なので、自身だけで上手く着替えができるように事前に練習しておくと安心でしょう。
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最後に
改まった席や、特別なパーティー、冠婚葬祭でもビシッと礼服を着こなしている男性は見た目にも格好が良いものです。着こなしや選び方に迷ったらお店の人などに相談すると良いでしょう。
丸昌 横浜店では、正礼装のモーニングコート、タキシードのレンタルが可能です。必要な一式がすべてセットになっていますので、付属小物の購入は不要です。(靴はセットに含まれませんが、オプションレンタルをご利用いただけます)
また、ブラックスーツのレンタルもございます。シングルとダブルのデザイン違い、春夏用と秋冬用の着用シーズン違いでご用意しておりますので、お手持ちのブラックスーツだと不都合…という場合はぜひご活用ください。なお、丸昌 横浜店でレンタルいただけるブラックスーツは、黒色のネクタイを着用いただけば喪服としてもご利用いただけます。