結婚式や記念式典、叙勲など、さまざまなお祝いの席で着用される男性の礼服。フォーマルな着こなしには実はシーンごとに細かい決まりがあります。せっかくの晴れの場で恥ずかしい思いをしないよう、基本的なルールとマナーをしっかり押さえておきましょう。
シーンごとの着用マナー
慶事で着る礼服の着用マナーはシーンによって異なります。
結婚式や披露宴
結婚式に参列するときの礼服は新郎新婦との関係で着用マナーが違います。
◎近い親族の場合
結婚式や披露宴の礼服は、新郎に合わせるのがマナーです。新郎が正礼装であるモーニングコートを着用する場合は、父親も正礼装がふさわしいでしょう。兄弟の場合は、既婚か未婚か、社会人か学生かなどによって多少変わりますが、新郎よりやや控えめな正礼装もしくは準礼装が良いでしょう。少しカジュアルな結婚式で、新郎が準礼装を着用する場合は、親族もディレクターズスーツやブラックスーツといった準礼装を着用しましょう。また両家の親族の礼服は同格にすることがマナー。事前に打ち合わせしておくと安心です。
◎出席者の場合
新郎新婦の親族など近しい出席者の場合は、ブラックスーツのほうが無難です。友人や会社の同僚などであれば、グレーやネイビーなどのダークスーツでも問題ないでしょう。
記念式典や祝賀会
記念式典や祝賀会のような公の場では昼と夜で着用する礼服が異なります。
◎昼
正礼装はモーニングです。準礼装はディレクターズスーツ、またはブラックスーツを着用します。略式の場合は、グレーやネイビーなどのダークスーツを着用します。
◎夜
正礼装は燕尾服、またはタキシードです。
なお、夏場は18時以降、冬場は17時以降を目安に夜と考え、服装を着分けます。
叙勲や褒章
叙勲、褒章は受ける人と同伴者は、皇居への参内や天皇陛下への拝謁がありますので、宮中のしきたりを考慮した装いが必要です。
- 大勲位菊花章頸飾・大勲位菊花大綬章・桐花大綬章・旭日大綬章・瑞宝大綬章(天皇陛下から宮中で直接親受される勲章)…燕尾服を着用します。
- 文化勲章・旭日重光章・瑞宝重光章・旭日中綬章・瑞宝中綬章、小綬章・双光章・単光章…フロックコートまたはモーニングコートを着用します。
- 小綬章・双光章・単光章…フロックコートまたはモーニングコート、あるいは準礼装も着用できます。
服装の着用規程については、フォーマルウェアの専門家に相談してみるのもよいでしょう。
指定のドレスコードを守るのが基本
結婚式や記念式典などの招待状には「ドレスコード」といって当日の服装の格式が指定された一文が添えられています。これを守るのが礼服マナーの基本です。
ホワイトタイ
格式の高い結婚式や、記念式典など「ホワイトタイ」と指定がある場合は、夜用の正礼装である燕尾服を着用します。
ブラックタイ
夕方以降に行われる結婚式や記念式典、その他で「ブラックタイ」とされている場合は、タキシードを着用します。
平服
パーティなどで「平服でお越しください」と書かれているとき、普段着ではなくフォーマルスーツ着用がマナーです。慶事の場合は光沢のある素材や、明るい色の小物を足して、華やかさをプラスするのもおすすめです。
シャツやネクタイの着用マナー
礼服ではシャツやネクタイの選び方にもマナーがあります。その場にふさわしいシャツやネクタイを選びましょう。
シャツ
シャツの衿の形はジャケットに合わせて変わります。モーニングやタキシードを着用する場合はウイングカラー(立衿)。ブラックスーツであれば、レギュラーカラー(普通衿)やワイドカラーがマッチします。
結婚式や披露宴で着用する場合、シャツの色は白が基本です。二次会などではカラーシャツでもかまいませんが、色合いは薄めのものを選ぶのがマナーです。
ネクタイ
格式の高い式典などでは白が無難です。
結婚式では光沢のある白やシルバーのネクタイを選ぶ人が多いようです。最近ではパステルカラーなどの薄い色合いのものや、柄の入ったネクタイも増えつつあります。
最後に
慶事で男性が着用する礼服についてご紹介しました。着る機会があまり多くなかったり、以前の礼服が体型に合わなくなってしまったり、などという場合にはレンタルを賢く活用するのもひとつの方法です。