1. トップ
  2. 着物
  3. フォーマルなシーンで着る着物にはどんな種類があるの?

着物

フォーマルなシーンで着る着物にはどんな種類があるの?

フォーマルなシーンで着る着物にはどんな種類があるの?

フォーマルシーンで着物を着こなすには、その場にふさわしい礼装の着物を着分ける知識が求められます。そこで、代表的な礼装の着物の種類とその特徴、どんな時に着用するのかご紹介します。知っていると一生役に立つ着物の知識ですので、この機会に身に着けてフォーマルシーンを美しい着物で楽しみましょう。

(※この記事は2017年8月22日に公開したものを加筆修正しました。)

着物にはTPOがあり、シーンに応じた種類を着分けるのがマナー

着物にはさまざまな種類があり、それぞれの種類によって格式の高さが異なります。そのため、どの種類の着物を着るべきかは、シーンによって変わってきます。さらに、未婚の女性だけが着用できる振袖や、既婚の女性だけが着用できる黒留袖のように、着る人の立場が定められている種類もあります。また、同じ種類の着物でも紋の数や合わせる帯、小物などによって格が変化することもあり、シーンに適した使い分けができないと、場違いやマナー違反になってしまうことも…。せっかくのフォーマルシーンに着る着物、ふさわしい着こなしで出かけるために、基礎知識を事前に押さえておきましょう。

※下記にあげたものはあくまでもひとつの目安です。地域や個人の考え方によって解釈は変わってきます。

フォーマル着物の最上位は「正礼装(第一礼装)」

一口に「フォーマル」と言っても、非常にかしこまった場面から、それほど格式張らない場面まで幅があります。そのため着物にも、最も格式の高い「正礼装(第一礼装)」、次いで「準礼装」「略礼装」というランクが設けられており、それを場面に合わせて着分けます。その中で、冠婚葬祭などの儀式に出席する際に着用する正式な装いが「正礼装(第一礼装)」で、黒留袖、色留袖、振袖、喪服といったものがそれにあたります。

フォーマル_礼装

黒留袖

着物の中で最も格が高く、既婚女性の正礼装(第一礼装)とされています。おもに結婚式で新郎新婦の母親や仲人夫人が着用します。地色は黒で、上半身には柄がなく、裾まわりにだけ縁起のよい柄が縫い目をまたいで続く絵羽模様で描かれています。 五つ紋を入れ、衿、裾、袖口、振りは、白羽二重の着物を重ねて着ているように見える比翼仕立てになっています。

色留袖

地色が黒以外の色で染められた色留袖は、黒留袖に準ずる格式のある着物です。 地の色合いのほかは、裾まわりにだけ入る柄や仕立て方法など、基本的に黒留袖と同じです。格も五つ紋が入ると黒留袖と同格になります。黒留袖は既婚者用ですが、色留袖は未婚女性も着ることができます。そのため五つ紋の色留袖は、結婚式で新郎新婦の姉妹やいとこなど、主役に近い親族女性として列席する場合にぴったりの着物と言えます。さらに黒留袖にはない一つ紋や三つ紋つきのものがあるのも特徴で、これは準礼装、略礼装にあたるため、結婚式やパーティにゲストとして招かれた場合に向いています。

振袖

未婚女性の正礼装(第一礼装)です。振りと呼ばれる長い袖が特徴です。柄が縫い目で途切れず、一枚の絵のように描かれている絵羽模様になっており、デザインの種類が豊富です。袖の長さの違いで、大振袖、中振袖、小振袖があり、結婚式の花嫁のお色直しの衣装として、また、成人式や卒業式の衣装として、晴れの舞台に着用される着物です。結婚された後、袖を短く仕立て直し、訪問着として着る方もいらっしゃいます。

黒喪服

喪主や故人の親族が葬儀や告別式に着る、弔事の正礼装(第一礼装)です。地紋の入っていない無地が喪の正式とされています。必ず五つ紋を入れ、着用の際は長襦袢と半衿、足袋は白のものを、それ以外の小物は黒のものを合わせます。

関連記事

はじめての黒留袖 着る前に知っておくべきマナーと決まりごと

はじめての色留袖 色留袖の特徴と着用時の決まりごと

はじめての振袖 振袖とは?どんな着物でどんなシーンに着るの?

正礼装(第一礼装)に次ぐフォーマル着物は「準礼装」と「略礼装」

正礼装(第一礼装)のように正式な装いではないものの、きちんと礼儀を尽くした装いとされるのが「準礼装」と「略礼装」です。準礼装は正礼装(第一礼装)に準じた改まった装いで、訪問着や色無地があります。略礼装は格式張らない結婚式やパーティーに向く装いで、江戸小紋、付け下げ、小紋などがあります。ただし、紋の数や柄の種類、合わせる帯や小物などによって準礼装にも略礼装にもなることを意識して装うことが必要です。

フォーマル_準礼装、略礼装

訪問着

未婚、既婚問わず準礼装として着られる着物です。披露宴、パーティーなどのほか、七五三・お宮参り・入学式・卒業式など、子どもの行事のお母様の着物としても多く着用されています。袖の部分の柄の配置によっては成人式や卒業式の振袖の袖を短く仕立て直して訪問着とすることもあります。柄は「絵羽模様」ですが、黒留袖や色留袖と違い、通常は胸や袖にも柄があり、比翼仕立てにはなっていません。豪華な柄行の訪問着の場合は、よりフォーマルな場面にふさわしい格になるよう紋を入れることもありますが、カジュアルなシーンでも対応できるよう、入れないことが多いようです。

色無地

黒以外の一色に染めて仕立てた、柄のない無地の着物です。胸や袖、裾に柄のある訪問着に比べると、全体的に控えめな印象になります。紋の有無で格が変わり、紋なしの場合は外出着や習い事などの際に着用します。紋をつけた場合は準礼装となり、紋が1つでも入れば無紋の訪問着より格上になります。 現在では1つ紋を入れた色無地を、帯や小物によって格調高く整え、よりフォーマルな場面で着る場合もあります。格式の高さはありつつも、あまり華美な装いにはならないことから、お宮参りや七五三、入学式や卒業式など、子供が主役の行事に付き添われるお母様が着用するのにふさわしい着物と言えるでしょう。また、格式を重んじる「口切りの茶事」「炉開きの茶事」「初釜」などといったお茶会での着用にも向いている着物です。華やかな色調のものは吉事に着用し、暗く沈んだ色調のものは、帯や小物類に喪服のものを合わせて凶事にも使用できます。

江戸小紋

もともとは武士の裃に使われていた柄で、遠目には無地に見えますが、近づくと細かい一色染めの柄があります。江戸小紋三役や大名家の留柄など、格が高いとされる柄に限っては、色無地と同格になります。一つ紋を入れ、格調の高い帯や小物で装うと準礼装として着用できます。そのため、結婚式やパーティーにゲストとして列席する場合など、よりフォーマルな場面にもふさわしい着物と言えます。

付け下げ

問着を簡略化した着物として作られたのが付け下げです。訪問着のように絵羽模様ではなく、柄が縫い目にかからないよう分割して配置されており、模様がすべて上向きになるのが特徴です。お客様宅への訪問や、子供の入学式や卒業式、同窓会や観劇など、少し改まったお出かけの際のおしゃれ着として用いられますが、一つ紋を入れると準礼装として着用できます。その場合は、格調の高い帯を締め、礼装用の小物を合わせると、結婚式や祝賀会などのフォーマルな場面でもふさわしい装いとなります。

小紋

パターン型で柄が描かれている型染めの着物です。絞り、更紗、縞模様、沖縄地方独特の染めである紅型などといった種類があります。柄ゆきも実に多彩で、幾何文様や飛び柄など、おしゃれな印象で遊び心の感じられるものは、観劇やコンサート、食事会やショッピングなど、カジュアルな場面だけれどおめかしをしたい時にぴったりです。一方、古典調の柄や吉祥文様や王朝文様などであれば、コーディネート次第でややフォーマルな場面にも向く装いとなります。あまり格式張らないカジュアルウェディング、平服指定のパーティーなどへのお呼ばれでも着用できる着物です。

はじめての訪問着 どんな着物? 特徴や着こなし方は?

最後に

フォーマルなシーンで着物を着ることで、お祝いやお悔やみの気持ちを表現したり、場の雰囲気を盛り上げたりすることができるだけでなく、着ている人の格を上げることにつながります。着慣れないうちは難しく感じることもあると思いますが、できるだけ着物を着る機会を増やして慣れていくことで着物に対する理解度も増していきます。臆することなく、機会があればどんどん着用していきましょう。

丸昌 横浜店では、正礼装(第一礼装)から準礼装を中心に、フォーマルな場面で着用する着物を種類豊富に取り揃えています。明るい印象で祝儀に華を添えるたい、控えめながら礼をわきまえた装いにしたい、格式を重んじるので典雅な雰囲気に、格式張らなくていいけど上品に…など、ご希望をお聞かせいただければ、それに応じたご提案ができますので、ぜひお気軽にご相談ください。

また、さまざまな事情で、着物を着るのをためらわれる方もいらっしゃるかと思います。丸昌 横浜店では、フォーマルなシーンに着用いただける、高い品格のドレスも取り扱っておりますので、着物に代わるフォーマルな衣装をお探しの方も、ぜひご相談ください。

関連記事

結婚式で母親が着用する「マザードレス」とは? 選び方や着こなしの基本マナー

記事一覧に戻る

カテゴリー 一覧