きものスタイリスト 大久保信子流 季節を彩る晴れ着スタイル 晴れ着の丸昌 横浜店

集まりの席での装い

忘年会やパーティーなど、何かと集まる機会の多い12月。
目上の方もいらっしゃる特別な会には、着物での出席が喜ばれます。
今回は、体格のよい方のための、訪問着の選び方と着こなし方をご紹介します。

丸昌のレンタル衣裳を
「大久保信子流」にコーディネート

食事会や
パーティーでの訪問着

着用シーン

以下の着用シーンに合うアイテムを丸昌の
レンタル衣裳の中から選んでいただきました。

場面 食事会やパーティー
年齢 30代女性
体型 ゆったりサイズ

コーディネートのポイント

  • 体型を強調しないスマートな装い
  • 場にふさわしい華やぎのある装い

着物

小花に流水文様の訪問着

黒地に多色使いの袋帯

大久保先生のアドバイス

目上の方がいらっしゃるような食事会やパーティー、レストランやホテルなど改まった場所で行われる会には、訪問着がおすすめです。訪問着は、胸、肩、袖、裾などの模様が一枚の絵のように断ち目をこえてつながっている「絵羽模様」が特徴で、場がぐっと華やぎます。訪問着といえば淡いピンクやクリームの地色が定番ですが、体格のよい方が着ると、よりふくよかに見えてしまうことがあるため、もう少し濃く締まった色合いのものを選ぶとよいでしょう。衣紋の抜き加減、おはしょりや裾の処理、帯の結び方など、体型をカバーする着付けのポイントも知っておいて損はありません。

今回選んだ訪問着

露草色と流れのある柄行きですっきりと

透明感のある露草色(露草の花のような薄青色)の訪問着。寒色系のやや濃い目の地色には、体型をすっきり見せる効果があります。上前の裾には、ピンク、黄色、紫色、青など色とりどりの小花が無数に描かれています。これらの小花模様が流れるように斜めに入っているのも、着姿がシャープに見えるポイント。褄先のほうにサラサラと描かれた流水文もスマートな印象を与えます。

今回選んだ帯

地色の黒で、さらなる引き締め効果を

改まった席に訪問着を着て行く場合、金糸や色糸で華文など古典柄を織り上げた袋帯を合わせるのが王道の着こなしですが、今回はあえて黒い地色の帯を合わせて、ぽっちゃり体型の引き締め効果を狙いました。ピンク、緑、青、金、白など黒地に映える色で箔散らしのように、細かく柄付けされています。霞のようにも、花畑のようにも見える抽象的な柄行きは、季節を問わず使える大変便利な帯です。

今回選んだ小物

帯締めも帯揚げも着物とリンクした色を

帯締めは着物の地色に似た薄青色に。帯揚げも着物の小花に使われている淡いピンクのものを選びました。重ね衿は金色でゴージャスに。華やかなパーティーシーンにぴったりです。日本料理店など落ち着いた場所での食事会なら、重ね衿をつけないコーディネートでもよいでしょう。

今月のメモ

体格のよい方でもすっきりとした着姿に見える5つのポイントをご紹介します。レンタル店でプロに着つけてもらう場合は心配いりませんが、ご自身で着つけをされるときには、ぜひ参考にしてみてください。胸が豊かな方は和装ブラやさらしなどで押さえること、体の厚みが増すので補整はしないこと。これらも体型をカバーする大事なポイントです。

着物

【ポイント1】 衣紋の抜き加減

衣紋がきれいに抜けていると、首が長く見えて体型もスリムに見えます。反対に衣紋が詰まっていると首が短く見えて窮屈な印象に。体格のよい方は気持ちたっぷり目に抜くとよいでしょう。

【ポイント2】 おはしょりの処理

細かいテクニックですが、おはしょりはまっすぐに処理するよりも写真のように右の幅が狭くなるように斜めに処理することで、シャープな体型に見えます。

【ポイント3】 裾すぼまりに

上前をたっぷり取って裾すぼまりになるように、下前の褄先をしっかり上げること。これで全身がシュッと引き締まった感じに。褄が真っすぐに下りていると太って見えます。

【ポイント4】 前下がり、後ろ上がり

体格のよい方は「前下がり、後ろ上がり」に帯を結ぶと、お腹周りがスリムな印象に。ただし、若い方の場合、これをやりすぎるとだらしなく見えることがあるので、「前下がり、後ろ上がり」は控えめにと心得て。

【ポイント5】 お太鼓とたれ先

お太鼓を作るときには背中に厚みが出ないように、体格のよい方はなるべく薄い帯枕を使うとよいでしょう。たれ先は、お尻のもっとも高いところより5mmほど下にくるように結ぶと、後ろ姿もすっきりまとまります。

教えてください! 愛用の一着

粉雪舞い散る小紋に
鞠を描いた愛らしい染名古屋帯

――12月にぴったりなお着物ですね。

大久保先生「粉雪が舞っているような柄行きなので、12月、または1月の寒い日に着ます。2月もまだまだ寒いですが、暦の上では春(立春)なので、この着物が着られる期間はとても短いのよ。なので、袖を通すのは年に一度かしら」

――枝にも雪が積もっているように見えます。

大久保先生「真っ白な雪柳にも見えますが、つぼみが膨らんできた梅の木に雪が積もったようにも見えますね」

――鞠の模様が愛らしい帯ですね。

大久保先生「前帯にもお太鼓にも可愛らしい鞠がたくさん描かれています。実は私の親戚が染めた帯なのよ。緯糸に金糸を織り込んだ『金通し』という生地なので、塩瀬の帯にはない豪華さが感じられませんか?」

大久保信子さんのご紹介

1976年に某着物雑誌の制作に関わり、日本で初めて「きものスタイリスト」として紹介される。それ以降、ハースト婦人画報社、世界文化社、プレジデント社などの各雑誌、NHK、その他各種テレビ番組、着物取扱い業者のパンフレットなど、着物のスタイリングおよび着付けに幅広く携わる。十数年の日本舞踊の経験や、歌舞伎鑑賞を趣味としており、着物に関する奥行きの深い知識と美学を身につけている。常に、着る人の立場に立って、その人の持っている美しさを最大限に引き出すスタイリングと着付けには定評がある。