お宮参りは、地域の氏神様に赤ちゃんが無事に生まれたことを報告し、これからの健やかな成長を祈願する儀式です。一般的には、生まれてから約1カ月後に行うとされていますが、赤ちゃんによってはその時期が真夏の猛暑の最中になってしまうため、小さな身体への負担が心配されます。そこでここでは、夏にお宮参りを行う場合の服装の準備や暑さ対策について、何をすればよいか、何に注意すべきかをご紹介したいと思います。
お宮参りをする赤ちゃんの、基本の衣装はどんなもの?
お宮参りの際、赤ちゃんには白羽二重(=真っ白な絹の生地で作られた、柔らかく光沢のある着物)の内着を着せ、その上に祝い着を掛けます。この和装スタイルが正式な衣装とされていますが、内着は他に着る機会が少なく、高級な着物でもあるため、現在は代わりに白いカバーオールなどを着せ、祝い着を掛けるというのが主流です。祝い着は、赤ちゃんを抱っこした人の身体の前側から赤ちゃんを覆うように掛け、祝い着についている紐をその人の身体の後ろ側まで回して結びます。赤ちゃん本人が羽織って着るものではないため、選ぶ際にサイズを気にする必要はありません。なお、仕立て直しが必要にはなりますが、お宮参りで着た祝い着は、七五三の衣装として活用することも可能です。お子様の発育、体格にもよりますが、三歳や数え年で五歳(満四歳)であれば着られる場合が多いでしょう。
お宮参りの祝い着は慶事用の着物にあたるため、おめでたい柄、縁起の良い柄が描かれます。ですが、赤ちゃんの性別によって違いがあり、男の子は兜や軍配、鷹や龍などの勇壮で威厳のあるモチーフが、女の子は御所車や熨斗、毬や鈴などの華麗で気品のあるモチーフが多く描かれます。ここには、強くたくましい男の子に育って欲しい、やさしく美しい女の子に育って欲しい、という親心が込められています。
洋装の場合、これが正式というスタイルは特にありませんが、神様に感謝や願いを伝える場という点から考えると、普段着よりもフォーマル感のある衣装がふさわしいと言えるでしょう。一般的には、セレモニードレスまたはベビードレスと呼ばれる衣装を身に着けることが多いようです。これはキリスト教の洗礼式の際に赤ちゃんが身に着けるクリスニングガウンが由来となっており、「なにものにも染まらないように」という意味から白色が基本です。赤ちゃんが産院から退院する時のためにセレモニードレスを準備したというご家庭は、それを活用すると良いでしょう。
なお、和装・洋装を問わず、帽子やスタイを着用します。帽子は直射日光などの外的刺激から守るため、スタイはよだれや吐き戻しによる汚れを避けるためです。その他、祝い着にお守り袋やでんでん太鼓、扇子などをつける場合もあり、これらは地域によって特色があるようです。
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夏のお宮参り衣装はどうすればいいの?
生まれて間もない赤ちゃんは体温調節機能が未発達なため、外気温の上昇にともない、体温も上がりやすくなります。そのため夏の猛暑への適応は困難で、場合によっては熱中症を引き起こしてしまいます。お宮参りでは、神社の境内や神殿など、エアコンがなく高温で過ごしにくい場所もありますので、暑さには十分注意してあげましょう。
当然、衣装にも配慮が必要ですが、もともと着物は季節によって着分けるというルールがあります。最も暑さが厳しい盛夏(7月~8月)には薄物(うすもの)と呼ばれる着物を、盛夏の前後(6月と9月)には単衣(ひとえ)、秋・冬・春(10月~5月)にかけては袷(あわせ)と呼ばれる着物を着用します。ただし昨今は、春過ぎから夏日の日があったり、秋でも残暑が厳しかったりするため、あまり厳密にルールに縛られず、その時々の気温や体調に合わせて着分ければ問題ありません。お宮参りの際に暑さが気になる場合は、薄物の祝い着を着用すると良いでしょう。
薄物の着物は裏地をつけずに仕立ててあり、絽(ろ)や紗(しゃ)、麻といった夏向きの素材を使うのが特徴です。祝い着の場合は絽を使ったものが多く、緯糸数本おきに隙間を作りながら織り上げてあるので通気性が高く、見た目にも透け感があって涼しげです。
夏のお宮参りには、吸湿性と保温性に優れた綿素材のなかでも、メッシュや天竺、ガーゼ素材といった通気性に優れ、汗を吸収しやすい肌着を着せ、カバーオールなども涼しい着心地のものを着用しましょう。そして、その上に絽の祝い着を掛けてあげると熱がこもりにくいでしょう。洋装の場合も、肌着やセレモニードレスは夏用のものをセレクトし、涼しく過ごせるようにしてあげましょう。
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暑さ対策は何をすべき?注意することは?
お宮参りに行く赤ちゃんは、生まれてまだ1カ月あまり。体温調節がうまくできないため、猛暑の屋外や冷房の効きすぎた屋内では体温を適応させるのが難しく、身体への負担がかかりがちです。お宮参りがきっかけで体調を崩したり、熱中症になるのを防ぐためにも、事前にしっかり対策を講じてあげましょう。
汗対策のために着替えを多めに準備
赤ちゃんはとっても汗っかき。これは、体温調節機能が未熟なうえ、汗腺の数は大人とほとんど変わらないからだそうです。たくさんかいた汗が冷房によって冷え、体温が奪われると体調不良につながる場合があるので、着替えを多めに準備しておき、汗をかいたら早めに服を取り換えてあげましょう。
状況に応じて服装をチェンジ
お宮参りに出かけて戻ってくるまでの間、屋外か屋内か、屋内でもエアコンが効いているかいないか、状況によって気温に差が生じます。赤ちゃんの体温調整がしやすいように、祝い着はご祈祷や記念撮影の時だけ掛ける、暑そうならばカバーオールの下の肌着を脱ぐ、というように、状況に応じて柔軟に服装を変えてあげられると安心です。着脱がしやすいように、服は前開きのものを選ぶと良いでしょう。
日傘やベビーカーで日差し対策を
夏の強烈な日差しは、赤ちゃんのデリケートな肌には刺激が強く、ダメージにつながります。また、暑さによる熱中症も心配です。屋外を移動する時などは、日傘やベビーカーのサンシェードで日差しを遮ってあげましょう。(神社によってはベビーカーの乗り入れが不可の場合があるので確認してください)
抱っこ紐、ベビーカーには冷却グッズを
赤ちゃんと一緒に移動する際、抱っこ紐は大変便利なのですが、身体が密着する分、抱っこする人も赤ちゃんも暑さは避けられません。ベビーカーは一見涼しそうですが、シート面が地面から近いため反射熱の影響を受けやすく、赤ちゃんにとっては過酷な温度となります。これらを利用する際は、保冷シートを挟んだり、ポータブル式の小型扇風機を活用するなどの暑さ対策をしてあげましょう。
水分補給をして脱水症状に気をつける
暑さに配慮し、日陰や屋内で過ごしていたとしても、気温が高い日は脱水症状に気をつける必要があります。お母さんは、授乳がしやすい服装を選ぶ、常温で飲める液体ミルクを準備するなど、赤ちゃんがすぐに水分補給をできるようにしておくと安心です。
最後に
夏のお宮参りは、暑さが赤ちゃんの負担にならないか心配な面もありますが、きちんと準備や対策を行えば、その不安は軽減できます。万全の備えがあれば、晴れやかな心持ちでお宮参りに臨むことができ、ご家族の良い想い出になることでしょう。ですが、何と言っても赤ちゃんの体調がいちばん。気温が高すぎる場合は、無理をせず延期したり、過ごしやすい気候になってから行っても良いでしょう。
丸昌 横浜店では、夏のお宮参りに着用いただける絽の祝い着を豊富に取り揃えております。男の子用、女の子用どちらもご用意がございますので、ぜひ見学、ご試着にお越しください。新生児の赤ちゃんを連れての来店はご負担も多いかと思いますので、すでに赤ちゃんの性別がお分かりの場合は、お誕生前にお越しいただいても構いませんし、24時間いつでも衣装選びができるネットレンタルをご活用いただくことも可能です。なお、レンタル予約をしていただいた後でも、赤ちゃんの急な体調不良や突然の天候の悪化の場合は、無料でご利用日の変更が可能ですのでご安心ください。
