赤ちゃんの無事の誕生に感謝し、これからの健やかな成長を願って行うお宮参り。きちんと参拝、ご祈祷をしたいと思う反面、冬の厳しい寒さの中、まだ生まれて間もない赤ちゃんを連れて行っても大丈夫かしら…という心配もあるかと思います。そこでここでは、冬のお宮参りについて、赤ちゃんの服装の準備や寒さ対策としてできることや、注意したいことをご紹介します。また、赤ちゃんのママやおばあちゃんなど、ご家族の服装についてもご説明します。ぜひ参考にして、赤ちゃんに負担の少ないお宮参りをなさってください。
(※この記事は2021年12月10日に公開したものを加筆修正しました。)
目次
お宮参りの際の、赤ちゃんの基本の衣装は?
お宮参りの赤ちゃんが身に着ける衣装は、白羽二重(=真っ白な絹の生地で作られた、柔らかく光沢のある着物)の内着に祝い着を掛けた和装が正式とされています。ですが昨今は、白羽二重の代わりに、白いカバーオールなどを着用し、その上に祝い着を掛けるスタイルが主流です。
和装を選択する場合
和装の場合、縁起の良いモチーフが描かれた祝い着がメインの衣装になります。この祝い着は、赤ちゃんを抱っこした人の体の前の方から、赤ちゃんを覆うように掛け、祝い着についている紐をその人の体の後ろで結んで留めます。
祝い着のデザインは、赤ちゃんが男の子か女の子かで色柄が異なります。男の子は鷹や虎、兜などのたくましく勇ましいイメージのもの、女の子は手毬や熨斗、蝶などの美しく上品なイメージのものが描かれますが、どちらも縁起の良い柄である点は共通しています。色は、男の子は黒、紺、緑などの濃く引き締まった色が多く、女の子は赤、ピンク、白など明るく華やかな色が定番です。
なお、記念撮影の際に仰向けに寝かせた赤ちゃんの上に祝い着を掛けて撮ることはありますが、赤ちゃん本人に羽織らせて使うことはありませんので、祝い着を選ぶ際にサイズを気にする必要はありません。
洋装を選択する場合
一方、洋装の場合は、セレモニードレス、ベビードレスと呼ばれる衣装を着用します。もともとは、キリスト教の洗礼の儀式の際に赤ちゃんが着るクリスニングガウンが由来です。レースやフリル、刺繍など装飾があしらわれた豪華なものから、シンプルなものまでデザインはさまざまですが、「なにものにも染まらないように」という意味から色は白が基本です。
和装の場合も洋装の場合も、日差しや風などの外的刺激や、よだれや吐き戻しによる汚れを避けるため、帽子やスタイを着用するのが一般的です。地域によっては、祝い着にお守り袋やでんでん太鼓などをつける場合もあります。
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お宮参りに同行する家族の基本の衣装は?
お宮参りの際、一緒に参拝されるご家族は、赤ちゃんの服装に合わせて和装か洋装に統一するのが好ましいですが、厳格なルールがあるわけではありません。産後間もないママやご高齢の祖父母様、まだ幼い兄姉のお子様に負担がかからない服装をお選びいただくのが良いでしょう。ただし、主役はあくまで赤ちゃんですので、主役よりも目立つ服装は避けましょう。また、神仏に感謝や祈りを伝える神聖な場面ですので、普段着やルームウェアなど、カジュアな印象、ルーズな印象を与える服装も避けましょう。
母親の衣装について
ご本人の体調や、授乳の問題、上の子のお世話の頻度など、様々な事情があると思いますので、無理のない範囲でフォーマル感のある衣装を選択し、赤ちゃんの初めての晴れの日にふさわしい装いをしましょう。
和装を選択する場合
ママが和装する場合、着物の種類は訪問着、色無地、付け下げを着用するのが一般的です。赤ちゃんの衣装の色柄との相性を考えて選びますが、控えめで落ち着いた印象のデザインにすると、赤ちゃんの祝い着が引き立ちます。赤ちゃんの着物の色と母親の重ね衿の色を合わせるなど、小物類でさりげなく統一感を持たせると、おしゃれなコーディネートに仕上がります。
洋装を選択する場合
洋装の場合は、セレモニースーツやワンピースを着用すると良いでしょう。ただし、カジュアルな雰囲気にならないよう注意しましょう。和装の場合と同様ですが、あまり目立ち過ぎない、落ち着いたデザインがおすすめです。肌の露出が多いスタイルはNGなので、ミニ丈やオフショルダーなどのデザインは避け、素足ではなくストッキングを着用しましょう。
祖母の衣装について
正式なお宮参りの作法では、赤ちゃんを抱っこするのは父方の祖母とされています。そのため、お孫さんの抱っこ係として張り切っているおばあちゃんもいらっしゃることでしょう。ご祈祷や記念写真など、人目に触れる機会が多いので、お宮参りにふさわしい服装を心掛けてください。
和装を選択する場合
着物の種類は、色留袖、訪問着、色無地、付け下げあたりが選択肢となるでしょう。赤ちゃんを抱っこする父方の祖母が、正礼装(第一礼装)の黒留袖を着用するのが一般的な時代もありましたが、近年では非常に稀です。ご家族の服装は、品格にバラつきが生じないよう揃えて着用することが大切ですので、祖母様の着物もそのバランスを考えて選ばれると良いでしょう。地域によっては、母方の祖母は父方の祖母よりも格下の着物を着る…というところもありますので、事前に確認しておくと安心です。色柄については、母親の場合と同様、赤ちゃんの着物を引き立てるものがおすすめです。
洋装を選択する場合
ママの場合と同じですが、晴れの日にふさわしい、フォーマルな雰囲気のあるセレモニースーツやワンピースが適しています。色は柔らかい印象になるベージュやライトグレー、正統派のイメージがあるネイビーやブラックなどがよく見られます。なお、ネイビーやブラックは地味すぎると喪服のようにも見えてしまうので、小物やアクセサリーなどで華やかさをプラスすると良いでしょう。また肌の露出は避けた方が良いので、肩や胸元、膝が隠れるデザインを選び、落ち着きのある上品な装いに仕上げましょう。
パパ・祖父の衣装について
パパも祖父も、お宮参りにふさわしい服装は同じです。選ぶ際は、ご家族で服装の格を揃えるという点を意識して、皆が正装している中、一人だけカジュアルスタイル…というような格差が生じないよう注意してください。
和装を選択する場合
あまり多く見かけるケースではありませんが、和装の場合は一つ紋、または三つ紋入りの羽織りと着物に袴をはくのが正しいスタイルです。
洋装を選択する場合
大多数の方が洋装で、ブラックスーツに白のワイシャツ、白ネクタイが基本のスタイルです。ダークスーツでも構いません。
上のお子様(兄・姉)の衣装について
大人と同様、上の子も赤ちゃんの衣装に合わせて和装か洋装に統一するのが理想ですが、年齢が幼い場合は、着慣れない和装が負担になることも考えられますので、ケースバイケースで大丈夫です。
和装を選択する場合
七五三で着用した晴れ着がある場合、それを活用すると良いでしょう。
洋装を選択する場合
男の子の場合はスーツスタイルの他、衿付きシャツとパンツにジャケットを羽織る、ベストを重ねて蝶ネクタイをつける、というスタイルが見られます。女の子の場合は、上品なワンピースやブラウスとスカートの組み合わせにボレロやカーディガンを羽織るスタイルなどが見られます。上の子と赤ちゃんの衣装の色味を合わせるなどすると、統一感のあるコーディネートに仕上がります。
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冬のお宮参り衣装はどうする?
お宮参り衣装を和装にするか洋装にするかを決めたなら、次は冬の寒さ対策を考えなければなりません。ご存知の通り、生まれて間もない赤ちゃんは、自分でうまく体温調節が行えないため、外気温に大きく影響を受けてしまいます。お宮参りでは、神社の境内の移動、神殿でのご祈祷など、エアコンがない寒い場所で過ごすことも多いので、しっかり配慮してあげましょう。
季節に合わせた着物の着分けも参考に
普段、私たちが季節に合わせて洋服の種類を変えるように、着物も季節によって着分けます。具体的に言うと、秋・冬・春(10月~5月)にかけては袷(あわせ)、盛夏(7月~8月)は薄物(うすもの)、盛夏の前後(6月と9月)は単衣(ひとえ)と呼ばれる着物を着用するのが基本のルールです。これは祝い着も同様で、冬のお宮参りには袷を選ぶのが一般的です。
袷の着物は、胴や裾のまわり、袖の部分に裏地をつけて仕立ててあるため、単衣や薄物に比べて重量感があり、着るとぬくもりが感じられます。そのため、冬にふさわしい着心地の着物となっています。(ただし、現在は屋内にはほとんどエアコンが完備されているため、オールシーズン着用可能)
冬のお宮参りの場合には、吸湿性と保温性に優れた綿素材のなかでも、ニットガーゼやフライス、スムース素材といった、ふんわりと柔らかくウォーム感のある肌着を着せ、カバーオールなども冬用のものを着用しましょう。そして、袷の祝い着を掛けてあげると良いでしょう。洋装の場合も肌着やセレモニードレスは冬用の暖かい着心地のものを選び、その上にマントのように全身を覆えるベビーケープなどを掛けて防寒してあげると良いでしょう。
ご家族も、必要に応じて中に冬用の機能性インナーを着用し、和装の場合は袷の着物を着ると寒さ対策ができます。インナーは衿元や袖口からのぞかないよう、ネックラインが広めに開いた、七分袖タイプなどを選ぶと良いでしょう。
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赤ちゃんのための寒さ対策はどうすればいい?
体温調節がまだうまくできない赤ちゃんにとって、暖房でぬくぬくの屋内と北風が吹きすさぶ屋外では温度差が大きく、冬は身体の負担が大きい季節と言えます。お宮参りがきっかけで体調を崩してしまわないように、できるだけ対策を講じてあげましょう。
脱ぎ着がしやすい防寒着を備える
外気温に左右されやすい赤ちゃんを寒さから守るため、防寒着の準備は必須です。ただし、厚手のものを着せるより、薄手のものを重ね着させる方が体温調節を行いやすいでしょう。カバーオールなどの上にベストやカーディガンを羽織らせたり、赤ちゃんをサッと包めるおくるみやブランケットがあると便利です。状況に応じて調整できるよう、脱ぎ着がしやすいものを選ぶのがポイントです。
冷えやすい手や足、頭にも防寒アイテムを
寒い屋外にいると、衣服から出ている手や足、頭などはすぐに冷えてしまうので、ミトンや靴下、レッグウォーマー、帽子を着用して防寒してあげましょう。電子レンジやお湯で温めて使う、保温ジェルなどもあると便利かも知れません。ただし、利用する際は赤ちゃんが低温やけどにならないように、直接肌に当たらないよう専用のカバーやハンカチなどで包んで使用しましょう。(使用する保温ジェルの説明書を必ずご確認ください)
場所に応じて着せすぎ注意
赤ちゃんは体温調節がうまくできない上、汗腺の数は大人と変わらないため、とても汗かきです。防寒のためにたくさん着せた結果、汗をかいてしまうと、その汗が冷えて寒くなる…という悪循環に陥ります。屋内・屋外の場所に応じて着せ方を変え、汗をかきすぎないよう注意しましょう。
空気の乾燥に注意して水分補給を
冬場は外気が乾燥しているだけでなく、屋内の空気も暖房で乾燥しがちです。その上、赤ちゃんは汗っかきですので、水分補給は重要です。乾燥した環境では、肌や粘膜のバリア機能が低下するため、菌やウイルスが身体に侵入しやすくなります。風邪やインフルエンザの予防のためにも、加湿、水分補給を心掛けてください。また、赤ちゃんは皮膚が薄く肌も乾燥しやすいので、保湿クリームも塗ってあげましょう。
家族のための寒さ対策はどうすればいい?
冬のお宮参りの場合、寒さ対策はご家族にとっても重要な課題です。ママやパパが体調を崩してしまっては、赤ちゃんのお世話も上のお子様のお世話もままなりません。特に産後間もないママは、ホルモンバランスの乱れ、夜間の授乳による寝不足、慣れない育児のストレスなどから体調を崩しがちですので、事前にできるだけの準備をしておきましょう。
防寒具はマスト。着脱のしやすいものがベター
着物用の防寒具としては、羽織りやコートがあります。様々なタイプがありますが、フォーマル向けのものならお宮参りにも適しています。羽織りは屋内で着用しても問題ありませんが、コートは外出用にあたるので屋内では脱ぐのがマナーです。洋装の場合も、フォーマルスタイルにマッチするコートを合わせましょう。エアコンの効いた屋内では、防寒着を着用したままだと暑い場合もありますので、サッと脱ぎ着がしやすいデザインのものがおすすめです。
インナーや小物を上手く使ってあたたかく
和装でも洋装でも、冬用の機能性インナーの着用は有効な防寒対策になります。ただし、衿元や袖口からのぞかないものを選ぶのが必須です。洋装のパンツスーツやロング丈のスカートであれば、下にレギンスやタイツを履いて対策することもできるでしょう。和装の場合は階段を登る際などに見えやすいので、あまりおすすめはできません。腰まわりまでカバーする深履きのショーツ、腹巻きと一体型のショーツなども寒さ対策には有効ですが、和装の場合は帯を締めるためショーツの履き口が下ろしにくく、トイレが困難になるケースがあるので注意しましょう。また、首元や手元も冷えがちなので、ショールやストール、手袋などを必要に応じて活用しましょう。
足元から来る冷えにもできる限りの対策を
底冷えという言葉がある通り、寒さは足元からじわじわとやってきて、身体全体を冷やします。なので、足元を上手く工夫することで寒さ対策のレベルが変わります。和装の場合は、足袋の上から重ねて履く防寒用の足袋や、指先が二股になっていて足袋の下に履ける和装用タイツ、ストッキングなどがあり、草履も、指先から足の甲を覆う防寒用のタイプがあるので、そういったものを活用すると良いでしょう。洋装の場合は、タイツや靴下の重ね着、靴用のカイロなどで対策すると良いでしょう。
上のお子様には身体を中からあたためるドリンクを
人間は、体温が下がると免疫力も下がると言われています。幼い子供の場合は、それが様々な不良として表れることもあるでしょう。コートなどの防寒着、手袋やマフラーなどの防寒グッズはもちろんですが、身体を中から温められるようあたたかい飲み物を準備しておくと安心です。例えば、ホットココアはおすすめの飲み物のひとつ。ココアに含まれる成分が血行を促進し、身体をあたためる効果が期待できます。あたたかい麦茶や緑茶であれば、保温効果のある水筒に入れて持っていくのも良いでしょう。ペットボトルや缶に入った市販のものより冷めにくいので、長くあたたかい状態で飲むことができます。
最後に
冬のお宮参りを赤ちゃんに負担をかけずに行うコツは、事前にきちんと冬用の服装の準備を整え、寒さ対策を講じることです。そうすれば一生に一度のお宮参りが、満足のゆく良い想い出になることでしょう。ですが、無理は禁物です。寒さが厳しく、赤ちゃんの体調が気になる場合には時期を延期し、季節が暖かくなってから行っても良いでしょう。
丸昌 横浜店では、男の子用・女の子用ともに、袷の祝い着を豊富にラインナップしており、冬のお宮参りはもちろん、春や秋のお宮参りにもご利用いただけます。祝い着をお選びいただく際は、ご来店でももちろん結構ですが、新生児の赤ちゃんを連れての外出はご負担が多いかと思いますので、ネットレンタルショップもご活用くださいませ。なおレンタルの予約後であっても、赤ちゃんの急な体調不良や突然の天候の悪化の場合は、無料でご利用日の変更が可能ですので、安心してお宮参りに臨んでいただけます。